FC2ブログ
12 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 02

株式会社 夢の友出版 公式ブログ

 

芥川賞受賞・黒田夏子さんの記者会見から 

 第148回芥川賞を受賞した黒田夏子さん(75)は、発表の同日16日に開かれた記者会見でこれまでの執筆活動についての思いや、現在の心境、横書きやひらがなを多用する独特の表現などについて語った。以下は、その中で主に独自の表現方法について語った部分を抜粋したもの。

―今回の小説は横書きですが、横書きでの執筆は初めてですか。また、なぜ横書きを選ばれたのですか。
黒田 数字でもアルファベットでも外国語でも、なんでも混ぜて書けるので機能的には良いものだと思っています。世間一般が、例えば学校の教科書でもどんどん横書きが増えてきていて、国語の教科書だけが縦書きです。ですから縦書きにするっていうだけでなんとなく文学的なムードがまじわってきちゃうような感じがして、それは振り払ってしまいたいという感じがして、横書きと決めました。それ以来もう結構何十年か横書きです。

―選評で堀江敏幸さんが「ひらがなの使い方が非常に印象的。時に荒々しく、暴力的なところもあって印象的。そこを高く評価した」と言われていましたが、ご自身はひらがなというものについてどのような認識でいらっしゃいますか。
黒田 漢字ですとなにか非常に限定されるところがあって、言葉というものを、なるべく語源の方にさかのぼっていくというときはひらがな、という感じがしています。例えば「みる」という動詞なら、漢字ですと5つも6つも使い分けると、いろんな意味が出るようでもあり限定してしまうようでもあるので。ひらがなですと語源にさかのぼって、連想の広がりとかが豊かだというのが、私の好みなのでひらがなを多用するようになりました。

―漢字とひらがなの使い分けのルールはありますか。この言葉は漢字、この言葉はひらがなというのはどのように決めているんでしょうか。
黒田 自分なりのルールはありまして、そのときそのときで、これだとどこで語が切れるのかわからなくなっちゃうとか、対になっている語の片方が漢字で片方がひらがなだときたないので、それは個々の場合でいろいろ修正はしますけれども、基本的にはできるだけひらがなだったら語源にさかのぼれる印象があるので、なるべくひらがなにしたいと思っています。ただ、ひらがなばっかりにしますとどこで語が切れるのか、日本語の場合分かち書きではないので、語頭がどこに来るのか非常にわかりにくくなる場合もありますので、そのへんはいろいろ考えます。単語でも、非常に日常的に使っていて誤解されないような単語ならば漢字ではなく仮名にしてしまってもわかるだろうと、考え考えやっています。

―今回の作品にはどれくらい時間がかかりましたか。
黒田 今回の作品には元になるもう少し長い作品がありまして、それは8、9年かけて書きました。今回の100枚は、それを別の編成にして100枚にしました。一つには応募の規定が100枚だったので。だいたい一作に10年かかるような、そういう書き方しかできない人間です。

―これまでひたすら書き続けて来られた数十年をふりかえってみると、どういう時間でしたか。
黒田 ものを書くことを第一義としてきたけれど、暮らしていくためのあらゆることを人間はしなきゃならないですから、なかなか時間がとれなくって。一生懸命そのことをしたくて、できなくて、長い長い時間です。

◆受賞者プロフィール
黒田夏子(くろだ・なつこ) 1937年東京生まれ(75歳)。早稲田大学教育学部卒業後、私立の中高一貫校で国語の教師を務めたあと、事務の仕事やフリーで校正の仕事を続けながら執筆活動を続ける。1963年、『毬』で読売短編小説賞に入選。2012年9月、「早稲田文学」に投稿した『abさんご』で早稲田文学新人賞を受賞し注目を集める。同作品は、2013年1月、第148回芥川賞を受賞。75歳9か月での同賞受賞は史上最年長記録となった。

FC2 Blog Ranking

スポンサーサイト



Category: 文学

Thread: 文学・小説

Janre: 小説・文学

tb 0 : cm 0