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株式会社 夢の友出版 公式ブログ

 

『捏造の科学者 STAP細胞事件』(須田桃子著・文藝春秋刊) 

 本書は、STAP細胞報道をリードし続けた毎日新聞科学環境部の須田桃子記者の徹底した取材により、STAP細胞事件の顛末が克明に記録された科学報道の歴史に残る好著。
 世界的注目を浴びセンセーショナルな論文発表の様子から、その直後からネット上で指摘された数々の疑惑によって論文の根拠がしだいに崩壊し、わずか数か月で「世紀の大発見」から「科学史に残るスキャンダル」へと変貌したSTAP細胞事件の真実に迫る。
 STAP細胞問題では昨年末、理化学研究所の調査委員会が、責任著者の小保方晴子氏による図表の新たな捏造を認定し、STAP細胞からできたとされた細胞や組織が実は既存の万能細胞であるES細胞(胚性幹細胞)から作られていたとの調査結果を発表した。さらに、今年2月10日、理化学研究所は、すでに辞職している小保方晴子氏に「懲戒解雇に相当する」との判断を公表している。ここにきてSTAP細胞の存在は完全に否定されることになった。

 今回の事件で感じたことは、科学の拠って立つ基盤とされる実証(再現性)の厳然たる位置づけと、それとは別に科学を空想し夢みることが、あたかも異次元の存在ということだ。実験と努力の積み重ねだけが延々と続く、そんな砂を噛むような作業に生きがいを見出す人間は、そんなに多くはない。失敗の中からでも、何度でもリベンジできる環境が、科学を志す人たちには必要なのではないだろうか。(後段は当ブログ執筆者の感想です。)


目次の紹介

異例づくしの記者会見
疑義浮上
衝撃の撤回呼びかけ
STAP研究の原点
不正認定
小保方氏の反撃
不正確定
存在を揺るがす解析
ついに論文撤回
軽視された過去の指摘
笹井氏の死とCDB「解体」
STAP細胞事件が残したもの

四六判・上製本・384頁・本体価格1600円・2014年12月30日初版発行

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Category: 書評

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今、最もわかりやすい宇宙の本~村山斉著『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』 

宇宙はなぜこんなにうまくできているのか表紙カバー
日本の小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワの探査に成功し、古川聡さんが国際宇宙ステーション滞在168日の記録を達成するなど、今、日本では、宇宙の話題が大きな関心を呼んでいる。この5月21日には日本の全国各地で金環日食が観測できる。国内でこのように広い地域で観測ができるのは、1080年の平安時代以来という記録もある。また、次に金環日食が観測できるのは2030年6月1日(北海道だけ観測可能)とだいぶ先のことになるため、今回の観測にかけている人も多いのでは?
この本は、今、日本を代表する宇宙の研究者である村山斉氏が、最近の研究成果を踏まえ、宇宙のさまざまな謎をわかりやすく解き明かした好著。読みすすむうちに、著者が描く宇宙の驚異とその魅力に引き込まれてしまう。
近年の研究によって、宇宙のはじまりから星の誕生や銀河形成のプロセス、宇宙全体の構造なども少しずつわかってきた。一方では、宇宙の組成の大部分を占めるダークマター(暗黒物質)やダークエネルギーの正体、膨張する宇宙の未来像など、また新たな謎も。
何よりも興味深いのは、謎を解明すればするほど、宇宙を支配するどの物理法則も、星や人類が誕生するのにとても都合よくできていることに気づかされることだ。果たして人間が生まれたのは当然のことなのか、奇跡なのか? 
 
~「もっと知りたい、もっと理解したい」という好奇心に突き動かされる仕事は、実に楽しいものです。もしかしたら、宇宙は人間にそんな知的興奮を与えるために存在しているのかもしれない。そんなふうに思えてくるほど、宇宙は謎の宝庫なのです。(「まえがき」より)

[もくじ]
地上と同じ物理法則が、宇宙でも通用する/なぜ太陽は燃え続けていられるのか?/惑星の不思議/ブラックホールと暗黒物質/膨張する宇宙/「四つの力」と素粒子の標準模型/宇宙の未来はどうなるのか
[著者紹介] 村山 斉 (むらやま・ひとし)
1964年東京都生まれ。理論物理学者、東京大学数物連携宇宙研究機構(IPMU)機構長とカリフォルニア大学バークレー校物理学教授を併任。素粒子や暗黒物質など宇宙の根幹に関わる謎の解明に取り組むとともに、市民講座などで科学の啓蒙活動を行っている。
[著書]
『宇宙は本当にひとつなのか』(講談社ブルーバックス)
『宇宙は何でできているのか』(幻冬舎新書) “新書大賞2011”を受賞

(村山斉著 集英社インターナショナル)

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電子書籍化が進む今こそ、問う!『脳を創る読書~なぜ「紙の本」が人にとって必要なのか』 

脳を創る読書表紙カバー
みなさんは、パソコンの画面上で推敲し確認したはずの文書なのに、紙に印刷してみて誤植や脱字に気づいたことはありませんか?
本書は、言語脳科学の第一人者である著者が、電子書籍と従来の「紙の本」との違いを、人間の脳の特性という視点から学究的に検証した好著です。
読書は、脳の想像力を高め、行間や先読みをする能力を養い、言語コミュニケーションを形づくるうえで大切な働きをします。「電子書籍」は検索機能など便利で手軽な反面、本の厚みなどの量的な感覚やページの概念も曖昧化しやすいうえ、手書きの書き込みができないなど、「紙の本」の視覚的な印象や手がかりが失われる傾向があります。「電子書籍」か「紙の本」かについては、結局は利用者の意識が重要になりますが、著者は、脳の発達という視点では「紙の本」が重要性な役割を果たすと訴えています。特に、学校現場で導入される電子教科書について、その問題点と提言を述べています。
~人間はどういう生き物であって、どこが愚かでどこがすばらしいのかということに我々自身が気づかなくてはならない。そうすれば、人間は人工物に振り回されることなく、古き良きものを大切にしながら新しいものを創り続けることができるに違いない。~(第5章から)
[著者紹介]酒井 邦嘉 (さかい・くによし)
1964年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。同大大学院理学系研究科博士課程修了(理学博士)後、同大医学部第一生理学教室助手、ハーバード大学医学部リサーチフェロー、マサチューセッツ工科大学客員研究員を経て、1997年より東京大学大学院総合文化研究科助教授・准教授。2002年第56回毎日出版文化賞、2005年第19回塚原仲晃記念賞受賞。専門は、言語脳科学および脳機能イメージング
主な著書 『言語の脳科学』(中公新書)『脳の言語地図』(明治書院)他
(酒井邦嘉著 実業之日本社)

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今、再び想う~『超訳 ニーチェの言葉』 

本書の腰帯に「人生を最高に旅せよ!」とあります。フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(1844~1900)は、19世紀後半に生きたドイツの哲学者です。彼は、当時支配的だったキリスト教道徳を厳しく批判し、現実に生きる人びとにとって、真理や善、道徳こそが大切だと訴えました。
彼は、有名な著書『ツァラトゥストラはかく語りき』の中で「超人」という概念を登場させました。「超人」とは、いろいろな困難をむしろ生きる喜びと考え、それを次々と克服し自らの限界に挑戦する存在です。この理想主義を排した現実的で前向きの力強い生き方こそ、現代を生きる私たちが参考とするべき生き方なのではないでしょうか。ニーチェの言葉は、しばしば文学的で警句のような形で示されますが、端的で感性的な表現のためとっつきやすく、読む人が自分で考え・解釈できる余地をもっています。日本人がニーチェを好む理由もそこにあります。
2011年に出版されベトセラーとなった『超訳 ニーチェの言葉』は、ニーチェの代表作から、現代人のためになるフレーズを選別し編纂されています。まだ読んでない人には一読を、読んだ人には再読をお薦めしたい一冊です。
(フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ著/白取春彦編訳/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

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Thread: オススメの本の紹介

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愛する日本で余生を送りたい―ドナルド・キーン著『果てしなく美しい日本』 

東日本大震災の惨状をみて、アメリカの日本文学者ドナルド・キーン氏(89歳)は日本への帰化を表明し、先日その思いを果たした。本書は、キーン氏が50年以上前(1958年)に著した「生きている日本」と二つの講演を併載し、2002年に文庫本化したもの。書名の『果てしなく美しい日本』は、文庫本化にあたってキーン氏が日本への思いをこめて名づけた。内容は、本格的な戦後復興が始まったばかりの日本人の暮らしや習俗が克明に綴られており、キーン氏の日本人への溢れる愛情と日本文化に対する深い見識に満ちている。キーン氏は、本書を50年前の日本を忘れていた人々や今の若い読者に読んでほしいという。本文の最後に、世界の文化が将来どのような道を歩むにしろ、日本が主要な貢献をなすことは間違いありません、と締めくくっている。(ドナルド・キーン著/足立康訳/講談社学術文庫)

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Thread: **おすすめbook!!**

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