FC2ブログ
09 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 11

株式会社 夢の友出版 公式ブログ

 

落語『長屋の花見』の庶民感覚 

 今年ももうじき花見の季節がやってくる。多少とも景気回復の予兆があるようで、昨年より多くの人出が予想されるが、心がけ次第で、お金なんかなくても花見は楽しめるというお話。

 『長屋の花見』は、春をテーマにした古典落語の代表作。店賃も払えず、今日の飯にも困る貧乏長屋の住民たちが主人公。

 ある時、大家の奢りで「花見」を開こうということになった。酒も肴も用意したというので、みな喜び勇んで「花見だ花見だ」「夜逃げだ夜逃げだ」などといいながら花見に向かう。
 ところがこの酒も肴も本物ではない。お酒は番茶を水で割ったもの、かまぼこは大根の漬け物、卵焼きは沢庵、毛氈はむしろ敷きという“見立ての花見”だった。「かまぼこ」を薦められた住民は「ちかごろ歯が弱くなったから食べづらい」とこぼし、「卵焼き」を食べようとする住民は「尻尾じゃないところをくれ」などと愚図る。茶を飲みすぎて気分が悪くなり「井戸へ落ちたときのような気持ちだ」というものや、「湯呑の中に酒柱が立った」というものも出る始末。俳句を詠まないかというと「長屋中、歯を食いしばる花見かな」と詠むものもあらわれる。

 そのうち長屋の連中は勢いづいて、芸者や幇間をつれて騒いでいる花見客らと喧嘩をはじめる。この花見客たちが酒や肴を残して逃げたので、長屋の連中は、彼らが残した本物の酒やご馳走を手に入れ、みんなで本当の酒盛りを始めた。それを見た幇間が、逆襲とばかり角樽を振りかざしてどなり込むが、長屋の連中に逆に脅かされて怖気づき、
「実は、ちょっと踊らせてもらおうと思ってやって来ました。」
「じゃあ、その手の樽はなんだ!」と長屋の連中がいうと、幇間は、
「こ、これは…、酒のおかわりを持って来ました。」

 悪態をつきながらも、皆が自由奔放にそれぞれの楽しみ方をしているところが実におもしろい。花見の席で、大根の漬け物や沢庵で番茶を飲んでいる風情が、何とも江戸庶民のユーモアや洒落の精神に富んでいる。大家に騙されたと知りながら、前向きに花見を楽しもうとする長屋の人々の意地っ張りな負けじ魂に、貧乏も笑いで吹き飛ばす落語の真骨頂をみることができる。

 『長屋の花見』は、上方落語の『貧乏花見』を、明治30年代に2代目蝶花楼馬楽が改編して東京に移したとされている。

FC2 Blog Ranking



スポンサーサイト

Category: 落語

Thread: 落語・演芸

Janre: お笑い

tb 0 : cm 0